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『すし』は、江戸前だけにあらず ハレの日のごちそう、寿司は和の美意識が集約された『食の芸術』でもあります。 今日はふるさとのさまざまな寿司の美を巡ります |
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海から遠く離れた京の都。 料理人の藤田敏晴さん 藤田「舞妓さんが、宴席でも食べやすいようにということで小さく作られたのがもともとと聞いております。」 |
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女性が、一口で上品に食べられるように、小さな形が好まれたのです ちいさきものは みなうつくし 枕草子の一節が思い浮かぶよう??? 京都らしい、可憐(かれん)な姿です。 |
壱のツボ だんだん美しくなる
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備前の国岡山が誇るちらし寿司が岡山ばら寿司 地元で評判のばら寿司名人、岡﨑和子さん 岡﨑さん、春を心待ちにしていたと言います。 岡﨑「この辺りに、タケノコとか、フキとか、絹サヤが出てくるころになると体がばら寿司を作りたい、食べたいと、自然と体が動きます」 |
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山の恵み、海の恵み、旬の食材が、春をつげます。 「だんだん美しくなる」 |
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では、ばら寿司が出来上がっていく様子を鑑賞しましょう まず、五目ごはんの上一面に、錦糸卵を敷き詰めます。 飾る決め手は、色の配置です 赤いエビ、そして茶色のしいたけを均等に置いていきます。 綺麗(きれい)ですね、まるで水玉模様 |
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次に淡い色味の食材を置いていき、最後に、置くのが緑。 岡﨑「本当に春ですね。ここに春を描いたって感じで」 岡山自慢のばら寿司の美です。 |
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実は、ここまで豪勢になったのにはある逸話(いつわ)が伝えられています 岡﨑「岡山藩の池田光政公が倹約令を出されたんですよ。あんまりぜいたくにならないようにって」
食事は『一汁┅菜』にせよという御布令。つまり、飯と汁物におかずは一品 お上に背いても、ばら寿司は豪勢に。 岡山人の心意気が彩り豊かな、ばら寿司の美に生きています |
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物流の中心地として栄えた大阪?船場(せんば)。 正方形の押し型が美しさの決め手です。押し型の寸法をとって、『二寸六分(にすんろくぶ)の懐石』と評されています まるでモザイク画のような美しさ、その美の法則は? 料理人の橋本卓児さん 橋本「やっぱり直線で仕上げて行くことと、角がぴちっとたってることですかね。」
箱寿司の直線の美を生み出すのは、丹念な仕込みです |
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卵の黄、きくらげの黒、鯛(たい)の白、エビの赤 |
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盛り付けもまた魅せます。 素材、道具、手間ひとつひとつ技をつくした美しさです。 |
弐のツボ 重ねられた時を味わう
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中世より若狭湾から京の街に運ばれたのが鯖(さば) 料理人の佐々木勝悟さん。 佐々木「やっぱり身の色ですね本当に上質の鯖というのは、塩をして酢をして寝かせたあともピンク色が少しほんのり残っているんです。」 鯖を寝かせることでおいしさとともに、美しさも手に入れたのです 「重ねられた時を味わう」 |
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美しい色はどのように生まれるのでしょう。 身の生々しさが取れ、落ち着いた質感に変化しました。 一晩寝かせると、酢がゆっくりなじみ、しっとりとした肌色に |
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でも、包丁を入れれば???Φにはほんのり桜色が残っています。 形を整え、コブで巻いて。 銀色に身の桜色が映えます 素朴な魚が洗練されたたたずまいに生まれ変わりました。 |
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さらに通好みの、究極の寝かす寿司があります なれ鮨に使われるニゴロブナが旬を迎えるのです。 卵を持つメスを用いたものが、最高峰とされています 創業230年の老舗の蔵でも、3月、仕込みが最盛期を迎えていました。 まずは、鮒の塩漬けから 古(いにしえ)から変わらぬ手作業。 魚を上手に漬けこめば、美しくなるといいます |
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鮒寿司店の左嵜謙祐さん。 左嵜「背のあたりは塩漬けをする時には黒みを帯びてるんですけども、塩漬けが済んだ状態になると青みを帯びた銀色が出てきますのでそれは綺麗な色になりますし、綺麗な仕事になると思います。」 夏までじっくり4か月ほど寝かせ、魚の水分を出します 土用の頃にタルをあけ、塩を落とします。 背の色に青みが出てきました 今度は、米のタルにもう一度漬けこみます。 なれ鮨作りはここからが本番 米を発酵させ、鮒を「なれ」させていきます。 |
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蔵に住む乳酸菌の力を借りて、ゆっくりと発酵させること???実に2年間 左嵜「目には見えないんですけど、蔵で過ごす時間が長くなればなるほど、乳酸菌の声が聞こえるというか。代々、代を継ぐ時に先代から自分たちが鮒寿司を作るんじゃないと乳酸菌が鮒寿司を作ってくれるお手伝いをしてあげるのが僕らの2年間の仕事です。」 |
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立ちのぼる芳醇(ほうじゅん)な香り いぶし銀のたたずまいです。 |
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切ると鮮やかな卵が、銫を添えます |
参のツボ 巻いて広がる寿司の世界
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かっぱ巻きに鉄火巻き??? 「巻いて広がる寿司の世界」巻き寿司は、遠く海を越え、ファンを獲得しました。 世界の寿司ブームに火を着けたのが巻き寿司、スシロールだったのです 生魚がまだ受け入れられていない1960年代、アメリカ西海岸で大ヒットした寿司があります。 アボカドとカニ風味のカマボコを巻いたカリフォルニアロール |
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銀座の寿司バーの料理人 星野武史さん。 星野「向こうの方は表面が黒って言うのをあまり好まないので、シャリを外側に巻いて、要は裏巻きですよねそれで一気に全米に広まった、世界に広まったと思います。」 見た目を一新したことで、今日のスシブームに一役買ったのです |
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さらにトッピングを加えたり、ソースをかけたり、遊び心あふれるスシロールは、無数に広がりました。 |
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創造力を刺激して止まない巻き寿司。
清田「ごはんとのりで世界を巻くよってキャッチフレーズを作ってるんです |
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今囙、新作を巻いてくれました。 仕上げは、巻きすで整えて 中からあらわれる日本とは? 世界遺産、姫路城です |
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清畾「巻けるかなっていうのではなくて、巻かなくてはって感じで作るので、巻ける物を巻くのではなくて巻きたい物を巻く。」 最後にもうひとつ、とてもユニークな作品を 中には、金色(こんじき)の空間。 空(くう)を巻くという、思いもよらない発想です 寿司の可能性は無限大。 みなさんは、どんな『すし』を楽しみますか |
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